樹下だより

春を待っていたら夏まで現れた。

2017年5月31日(水曜日)

冬うち首を長くして待っていた春。
ちょっと待って、と声をかけているうちに春は急行列車の如く
行ってしまい、声も掛けないのによっこらしょ、と夏が現れた。

本日は新潟市や村上市、長岡市など新潟県の北東部で
30℃を越え、5月としては記録的な真夏日となった。
(新潟市秋葉区で本日の国内最高気温に達したという)

いつもなら当地上越地方は県内でも高温となりがちだが、本
日高田の最高気温は29℃で止まったらしい。
そのせいかうだるような暑さは感じなかった。
記録的な高温となった一帯では東よりの風が吹き、当地域は
北風だったことが幸いしたのかもしれない。

明日は一転して22,3℃の最高気温だという。
本日夕刻、風邪の人が続けて見えた。
寒暖に揺さぶられ、体調を崩されている。
面倒がらず衣服や寝具に気を使うのが良さそうである。

明日夕刻晴れれば良い夕焼けが見られるかもしれないが、
どうだろう。

樹下美術館は夏の庭へ 「Otonaプラス」に掲載されて。

2017年5月30日(火曜日)

本日大むね晴れて気温は上越市高田で28度を超え夏日となり、
美術館の庭は緑濃くすでに夏の趣が漂っていた。

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不思議なことだが庭のシランは圧倒的に白花が増えている。
一昨年あたりから一部を引き抜くほどになったが、本日真っ
白な花は誠に清楚で涼しく見えていた。
(手前に大株に育ちつつあるクリスマスローズがみえます)

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アジサイの花がほころんできた。これは「紅(くれない)」という花。
5,6株あり今は白だが、日を追って赤く染まっていく。
以下6枚の写真は昨年までの6月の庭の様子です。

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ほぼ3週間ほどで「紅」はルビーのごとく真紅へと色を深める。

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青いアジサイも幾種類かあり梅雨の宝石を競うように咲きます。

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キョウガノコ、シモツケソウ、アスチルベなど初夏の花が週末あたりから
一斉に始まることでしょう。

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そして6月下旬、いよいよ梅雨の女王カシワバアジサイの登場
です。3株ありますが、大きなものは人の背丈を超えるほど育
ちました。

さて去る5月27日付けで新潟日報の「Otonaプラス」の表紙から
3ページにわたり樹下美術館の記事が掲載されました。

Otonaプラス

熱心なライター堀川愛理さんの二回にわたる取材で誠に詳細か
つ好意的な記事となっていました。
早くも観たという新潟市からのお客様がお見えになり、感謝を禁じ
得ません。

美術展示があるカフェと庭、庭とカフェがある美術館、正直全くどち
らでも構いまわないのです。

カフェだけのご利用はもちろん出来ますし、展示を観るのは200円
です。また庭だけ自由にご覧になる方も見えます。
どうかお気軽にいらして下さい、いつでもお待ちいたしております。

 

強風の夕刻、ダイナミックな雲のパフォーマンスを観たが本日も無料だった。

2017年5月27日(土曜日)

晴れたが風がありやや寒かった土曜日午後は再び庭の手入
れめいたことを行った。
草を摘まみクリスマスローズーを中心に粒状の固形肥料をくべ
た。今年花を終えた後のクリスマスローズは、例年になく株が
ボリュームを増しつつあり、来年が楽しみとなった。

夕刻、陽が傾いた時間の東の空が黒みを帯びている。
風も強まり、こんな時の雲は見応えあることが多い。

ダイナミックな雲が撮れそうな予感で上下浜へ向かった。
強風に研がれたような雲がオレンジの世界に現れ、様々に色
や形を変えていく。

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日本海沿岸の丘の上は西風で、20数㍍以上は吹き続けた事だろう。
石のオブジェと建物VS雲の造形は暮れるまでおよそ20分、互の主
張をやり合って見応えある現象を目の当たりにする事が出来た。

スケールの大きなパフォーマンスだったがやはり無料だった。

保育園の健診で天使たちに出会う 生きとし生けるものへ昼と夜の絶対支配。

2017年5月23日(火曜日)

本日は保育園の春の健診。
ゼロ才児はヒナのように眠っていて、1歳児は天使のよう
にあどけなく、5才児はすぐにでも小学校へ行けそうだっ
た。

終わって遅い昼食に美術館へ。
連日の晴天に配慮して庭に撒水をしていると、近くの枝
で雀の幼鳥が休みなく鳴いている。

レンズを向けているとすぐに親鳥が来て、私から遠ざけ
るべくヒナを遠い枝へと誘導した。

1

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親を襲わんばかりに餌をねだるヒナ。
これだけの飢餓にも拘わらず夕暮れから明け方まで睡眠す
るのもまことに不思議。

生きとし生けるものは昼と夜の支配から逃れられないのだ
ろう。
本日も遅くなった、私も寝なければ。

倉石隆の絵画への楽しく頼もしい反応。

2017年5月11日(木曜日)

樹下美術館の今年の展示は倉石隆が「カリカチュア
風な
倉石隆」、齋藤三郎は「陶齋の色絵と鉄絵」です。

倉石隆の絵画7点は、漫画的な風合いのものが並び
ましたので見やすいというのもあり、例年よりも興味深
くご覧になる方が多いように感じられます。

1
「人生」 1957年 90,9×72,7㎝
当作品は以前にも架けたことがありますが、今年
はよく感想が聞かれます。
開館早々のお客さんが「あの絵はいいですねー、
欲しくなりました」と仰いました。
また先日当館を取材された某紙のライターさんが
資料として所望された三つの作品の真っ先に上げ
られました。
あるいは過日来訪した親族の一人、大学一年生
のイケメン男子が「不思議な気持ちになり、吸い込
まれそうになった」と述べたといいます。
確かに、いくら開き直ったとしても人生をここまでぐ
しゃぐしゃにはなかなか描けません。
抽象絵画なら方法はありますが、具象ゆえ滑稽か
つ惨めな人生の側面をいっそうインパクトをもって
訴え得たのではないでしょうか。
画面狭しと描かれた作品は倉石氏ご本人を描いて
いるようにも思われます。
あるいはハンサムだった氏だけが描ける自画像だっ
たとも思われ、あらためて面白い絵だなあと見直し
ている次第です。

2
「(熱情)」 1987年 18,0×13,8㎝
先日来館された女性がエゴン・シーレを思わせる、と
仰った作品は私も同感。
お話にクリムトも語られ楽しいひと時でした。
現在展示をしていませんが、樹下美術館にはもう一
点シーレ風の倉石作品があります。

52
「(みつめる)」 1985年 73,0×52,0㎝
ごつごつした線と荒らめなタッチ、強く描かれた眼、褐
色。
倉石夫人から、シーレは隆氏が影響を受けた画家の
一人、とお聞きしたことがありました。

E
そして「男の像」 1955年 72,0×60,0㎝

本日、かの5月4日の若者達を知る人から、あのペー
ジの上隅に描かれた小さな絵は、「男の像」のイメージ
だったようです、と聞いた。
ちなみに以下にその部分を取り出してみました。

img196
絵心を感じさせる小さなイラストは、「男の像」だっ
たのですね。
「男の像」は倉石隆氏のご親族から頂きました。
持ち主もとても気に入っていたと仰り、私も困ってい
る顔の小さな頭の大きな「男の像」は好きです。

人や人生を醜く描く。
現代の若人にはともすると馴染みの薄いことかもし
れません。
でも自らや人間の欠点と負の事実をちゃんと見るこ
とは成長とステージアップには欠かせない作業(過
程)であろうと考えられます。

現在あちらこちらで見られる自画自賛は、本来日本
人であれば恥ずかしくなるような雰囲気が感じられ、
ある種弱さの現れでなければいいがと心配でした。

しかしわずかの事でしたが、倉石隆が描いた人間
の負の側面に打たれる若者がいるという事は、彼ら
が密めている力強い成長への健康な芽を見た思い
がして、頼もしさを感じました。

最後に小さなお子さんでしょうか、「さかな」がかわい
かったという感想を残されていました。

さかな
「(さかな)」 1955ー60年 24,2×33,3㎝

※括弧内の題名は1955年新潟市美術館で開催され
た「倉石隆展」で付けられた仮題です。
氏の作品にはタイトルが無いものがよくあり、展覧会
に際して夫人および親友の画家司修氏によって仮題
が付けられています。

樹下美術館のノートから二つ。

2017年5月8日(月曜日)

ささやかな樹下美術館に何冊かノートを置かせていただき、
思い思いご自由にお書き頂いている。

なかでもカフェの丸テーブルは横書きで、そのせいか若い
人がよくメッセージを残されイラストが添えられていることが
ある。
このたびは本日目にした最近の記事から二つご紹介させて
頂きます。

最初は女性です。

1
可愛いイラスト。

以下の文がありました。

〝春のいろいろな花が盛んに咲いていて美しいです。よその
店ではカップ1杯しか飲めないのですがここではポットにある
限り2杯も3杯も飲めていいです。
「のみほした器の底の小宇宙」 「花びらよ雨の緑にまいおど
る」 「ティーカップみたさに追加注文!」。
さいがたの田園と春のチューリップ、ピアノのBGM、感激して
しまいました。
カフェにある「ひるね」の絵画も夢に出て来そうです。この緑の
景色にパノラマの窓、なんてぜいたくでしょうか!関東では味
わえません。
ぜひ次回は家族や友人達をつれて訪れてみたいです。美しい
茶器も美術品も「小宇宙」の世界でした〟

なんて嬉しいメッセージでしょう、有り難うございます、ぜひまた
お訪ねください(館長でした)。

次はスター・ウォーズです。

2
私は映画を観たことがないのですが一見してスター・ウォ
ーズです。上方に小さく描かれた人間も雰囲気がありま
した。

ところで何気なく書かれたキャプション「May the Force
be with you」は何か意味あり気でした。
普通なら〝貴方に力あれ〟のようなメッセージでしょうが、
the ForceのFの大文字が気になります、下の4thも、、、
そこでMay the Force be with youをそのまま検索して
みました。

するとこれはスター・ウォーズの中の有名なセリフの一つ
だとすぐ出ました。
Forceは映画固有の超常的な力で、「汝、フォースと共に
にあれ」という風に使われているようでした。
そして4thはMay(5月)にも掛かり、記載の当日5月4日
を表すものと考えられ、器用な文だなと感心しました。

だが待てよまだ何かある、念のため「スター・ウォーズ 5
月4日」と打ってみました。
すると実に「スター・ウォーズの日」とあるではありません
か。

このメモは以前掲載した中高生が残したものかもしれませ
ん。
そうだとすると彼らはスター・ウォーズの日という特別な
日に樹下美術館を訪れ、丸テーブルで食事しお茶を飲みメッ
セージを残したことになります。

若者中心に絶大な人気をほこる当映画には現代に投影
される深いテーマがあるらしく、何気なくノートに書かれたこ
とがらからも影響の大きさが伝わりました。

慌ただしく過ぎる日常でふと目にする皆様のメッセージ。
皆様に幸あれ、ノートはいつも有益で楽しませて頂いていま
す。

みどりの日は良い祝日。

2017年5月4日(木曜日)

緑の日の祝日は清々しく晴れ、当地でもそれぞれ戸外
を楽しむ人達の姿が見られた。

夕刻の上越市大潟区はいつもの四ツ屋浜の林間にあ
る数カ所の大潟キャンプ場のサイトは所狭しとテントが
張られていた。

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普段散歩をしている海辺の林間がこんな風景になるのを
初めて見た。

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長野、高崎、前橋、松本など殆ど県外ナンバーの車輌。

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住んでいると何の変哲もない海辺へこんなに人が来て
くれるとは驚きだ。

 

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樹下美術館がある上越市頸城区城野腰ののどかな通り
も緑と花。

1
そして樹下美術館の昼前、中高生男子6人の仕度が出来
ていた。
生徒さんたちは庭を回った後しっかり展示を見てから食事を
したり、お茶を飲んだと言う。

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水が入った田んぼ脇のベンチで若い女性がゆっくり過ご
された。

若い人達を中心に伸び伸びと休日を楽しむ様子は素晴し
かった。

樹下美術館からの「跳ね馬」 連休の合間の胃痛。

2017年5月2日(火曜日)

一昨日、ゴルフ場から見た妙高山の雪形「跳ね馬」の
ことを記載したが、4,50キロは離れている樹下美術
館の庭からもそれは見える。

特に本日は山並みがはっきりしたため、いつもより良く
見えた。

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雪解けが進んだせいか、角度のためか一昨日より
下の部分の輪郭がわずかに薄らいだように見える。
しかしそれはジャンプするような躍動にもも感じられ、
いっそう力強さが感じられる。

連休後半に入る直前の平日、診療が混み図録の第
6校(最終校?)の校正もストレスで少々胃が痛い。

_MG_5918
6校目にもなるというのに、あるページではまだこんなに
直しがあるとは、一体いままで何をしてきたのだろう。

この仕事は高尚過ぎて自分には無理、という観念がどこ
かにある。
出来たとしても余りの粗末さに死にたくなるのでは、という
気持ちを払拭出来ないし、出来る前に死んでしまいたいと
思うほど、ハードルが高くなってくるようだ。

例え小さな美術館の館長であっても図録制作は責任で
あろうと考える一方、他者の作品や人生に言及するのは、
とんでもなく越権ではないのか、という恐れに悩まされる
のもまた事実だ。

うららかな日にパラソルを出した 古代も現代も良い場所大潟水と森公園。

2017年4月30日(日曜日)

昨日午後からお天気が崩れたものの本日は清々しく晴れ
た。
連休前半の日曜日でお客様にお出で頂いた。
今年は展示が親しみ易いためか、熱心に作品をご覧にな
る方が多いが、本日はカフェが気に入ってわざわざ関東か
ら二回目のご来館という方もお見えになったという。

午前中に美術館に出向き、日射しが強まったためベンチに
初めてパラソルを出した。

1
気温は25度に近づき、終日うららかな一日だった。

ベンチで第6校となる図録の校正を手がけてから新潟県立
大潟水と森公園を訪ねた。
美術館から車で15分もあれば到着する当公園は広大。
手つかずの自然に囲まれ、近年ますます人を集めるように
なったという。

地形や植生が変化に富んでいるうえ、縄文、弥生、古墳時
代など古代的雰囲気をも伝える良い場所だと思っている。

5
葦が一部処理されて水面が広くなり、ミツガシワの群落が拡
大していた(水上回廊から)。

ほどよい起伏に恵まれ、子どもから老人まで楽しめる7つのゾ
ンからなる公園。
なかでも自然観察ゾーンと潟の里ゾーンは比較的静かなので
よく歩く。

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植栽された黄色が入った八重桜が満開だった。

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間もなく終わるコブシ。

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笹の若葉はずきんをかぶったこどものように可愛い。。

本日の潟の里の道中で新しいあずま屋に出会った。

2
このあたりは周囲が高く、わき水に恵まれている。
向こうに新しい小屋が見える。

3
分厚く敷き詰められたウッドチップの道を行くとそのまま
小屋に入る。

4
なんとも気持ちの良いあずま屋。

公園から美術館に戻ると同業の大先輩ご夫婦がお見
えになった。
大潟水と森公園からの帰りということ。
自分も先ほどまで行っていました、とお伝えした。

上越に長く住んでいるが、あんな良い所があるとは知ら
なかった。
故郷の魚沼を思わせる湖沼、豊かな植物、古代的な雰
囲気の良さを語られ、元気な子供たちと出会ったことも
楽しかった、と仰った。
良い場所は海彦山彦の縄文もスマホの現代も変わりな
く人を魅了するのですね、という話になった。

先生とはふとしたところで出会う。
80才を越えてなお変わりないご様子はとても嬉しかった。

樹下美術館の小さな橋。

2017年4月25日(火曜日)

樹下美術館の南側(裏手)に小さな流れがあり、そ
こに小さな橋が架かっている。

10年前の開館の時に設えてもらったが、昨年新しく
架け替えた。

そばにデッキとベンチがあるので時々お客様が橋を
渡って農道を歩かれる。

あまり旅行をしないので、この小さな流れと橋にふ
と旅情を感じることがある。

1
耳を澄ますと水音が聞こえる。

2
橋の向こうは頸城平野。間もなく田に水が張られる。

3
渡った方向から見たベンチとテーブル。


ミルスブラザーズによる「小さな竹の橋の下」。
〝長い年も月も色とりどり、、、〟この歌には日本語の
歌詞があり学生時代の思い出がある。

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