頸城野点景
家屋が受けたストレステスト 特急はそろりそろり。
昨夜の風には家の倒壊を真剣に心配した時間帯があった。築90余年の古い家に居たが、容赦ない暴風に対して大声を出したり唸ったりしながら家屋は必死に耐えてる様相だった。図らずも本番による厳しいストレステストを受けたのではなかったのか。
一夜明けて会う人ごとに風の話だった。屋根屋さんは手が回らないほど忙しかったらしい。田畑でハウスなど多くの被害を見た。
ほくほく線は「くびき」ー「犀潟」間で平地に出る。まだ残る風の中、特急はそろりそろりと高架橋の上を走っていた。
低気圧は去ったがあの膨大なエネルギーを電力に変換したり蓄電できないことかと思った。
幸い住むべき板倉の里が。
昨年亡くなった母がよくショートステイでお世話になった板倉さくら園。「こぶし」の部屋をよく使わせて頂いた。
母はそこから見える風景を気に入っていて、90才の頃に幼いスケッチを一枚残した。重なり合う山並みを見ながら“山のあなたの空遠く幸い住むと人の言う、、、 ”と言っていた。
このたびの地すべりは、位置としてこの絵の右方。樹木乏しく茅のような草に覆われた裸のような山で起こった。この山の姿は一種異様で、かなり遠くからでも眼に写っていた。
板倉さくら園は新井柿崎線で行けば一発だったが、バイパスを使うと中々うまく行けなかった。それで何かと当山を目印にした。
こぶし咲くゑしんの里板倉。ショートの行き帰りに迂回して母とよく現地一帯を走った。思い出深い平和な一角がこんなことになろうとは。治山の点で深刻な問題があったのではないだろうか。
たとえ翼があっても。
早春の頸城平野(本日の昼,大潟区蜘蛛ケ池周辺から)
日中の晴天は夕刻が近づくにつれて気温が下がり冷たい風が吹き出した。昨年の地震の時間が近づく頃に、美術館の近くで田の白鳥を見ていた。雪解けした田には北帰行を控えた白鳥が沢山集まって食餌をしていた。
一年経つのに映像の被災地は膨大な瓦礫の山に占拠されたまま。腹に響くような復興の足音が届いてこない。
夕刻近く急に強まった季節風に向かって飛んできた白鳥。
黒っぽい若鳥も一人前だ。
田んぼに落ちていた白鳥の羽。逆光のガラステーブルに置いて見ると美しい。
新潟県にはまだ7000人の福島県の方が避難されている。私の診療所でも何組かの親子さんと顔馴染みになった。ご主人たちの多くは単身福島県で仕事をされてると聞いた。
春を迎えて帰る鳥、翼がありながら帰れない福島県の人々。放射能汚染が家族を引き裂く。麗しい日本はこんな国ではなかったはず。
昼の温かな時間に妙高市から孫子が海を見に来た。大喜びでシーグラスを探して帰った。
今日は今年一番お客様が来られた。
あの雪はいま雨となり そして辛夷(こぶし)の油絵。
雨ほど雪を消すものはない。これに南東の風でも当たればもっと消える。ここ二日続いた雨で雪消えが進む。上越市大潟では30㎝あるかなしかとなった。
こんな日のもやは、融けた雪が地面で暖められ水蒸気となって立ちのぼっているのだろう。
午後の往診、訪問の雪もや(上越市大潟区)。
雨が融かしているのは嘗ての自分にほかならない。
“ あの雪はいま雨となり降りしきる嘗ての己身をみな消さむとて ”
いよいよ3月9日(金曜)~15日(木曜)まで上越市本町5丁目の「ギャラリー祥」さんで第4回東日本大震災&長野県境地震復興支援チャリティ「アート&アーティストの底力」上越展が始まる。
同展に当ノートに掲載した水彩の辛夷を仕上げて出品するつもりだったが、規格サイズより随分大きいことが分かった。それで一花だけ取り出して小さなSMサイズ(ハガキ二枚より一回り大きい)のキャンバスに油絵として描いていた。
あれこれやりとりして今夜何とかゴールとした。まことにお恥ずかしい作品ながら、大島画廊で簡単な額を付けてもらい9000円のチャリティとして出品してみたい。
作意なき詩情、冬の日本海は貴重な観光資源。
平年並みだった上越市北部沿岸もこのところの寒波で大雪となった。このたび2日連続して大雪の予報だったが、さほど降らずに済んだ。ただし気温は下がり道は氷っている。
本日夕刻の西空に茜が差した。午後からの休診、ずっと家に居たので海岸へ行った。5時を過ぎても陽が残るほど日中の日が長くなった。
ちょうど4年前の今日掲載した小屋は健在、淋しさもご馳走のうち。
ところで冬の日本海は荒れる。しかし情景は雲と共にスケールの大きい詩情であろう。この時期、近くの鵜の浜温泉やマリンホテルハマナスには、長野県や東京方面のお客さんが結構来られると聞いた。
今週、「終着駅」というテレビドラマのロケがマリンホテルハマナスとその界隈であったことが報じられた。佐藤浩市さんと中山美穂さんが来ていたようだ。当ノートでもホテルの写真を掲載したばかりだったので何か嬉しい。
観光は作意なき詩情と良い食材、そして怠りなき手入れによる「もてなし」が大切だろう。一帯は期待できる、ぜひさらに磨きを掛けて欲しい。
2月は厳しいが、希望も垣間見られる
まだ吹雪いている午前に遠くの方の看取りに行った。極めて寒い日に長く病んだ人が亡くなることがある。
昨晩から吹雪いて溜まった新雪を、四駆のタイヤをグググと鳴らして走る。小さなカーブは雪の角に車をこすりつけ、それをテコにハンドルを切る。タイヤが埋まったら何度も前進バックを繰り返して抜ける。
到着したお家に僅かのご家族。ご本人はまるで草花のように静かな人で、お顔も静かだった。帰路はお庭を思い出しながら帰った。梅、レンギョウ、椿、桜、芙蓉、コスモス、モミジ、そして雪は毎年真っ白だった。
午後から明るく晴れて、わずかながら日が長くなった。2月は厳しいが思わぬ晴天が現れ、希望を垣間見させてくれる。
今日、手すりの雀たちは活発だった。
今日の貴重まんさくの花 海霧 スズメ
夜半から朝にかけて降雪があった。20㎝ほどで止み午後半ばから薄陽が差した。外気温は0℃、風もなく夕刻には気持ちよく晴れた。
窓辺の手すりに置いた餌場にスズメ。三年目で初めて来るようになった。
窓から20㎝足らずの位置だが、カーテン越しなので安心している様子。
春、我が家の軒下の営巣はムクドリに大半が占領されてしまった。割を食っているスズメには特別な思いがあるので、冬だけでも助けてやりたい。見えないが右側にもう一つ餌台がある。
在宅回りの帰りに寄った四ツ屋浜、通りから30秒で来れる。
犬と散歩の人は知人。右手の海は立ちのぼる霧のためよく見えない。
これほどの季節照準はあろうか「まんさくの花」
秋田県は横手、日の丸醸造。
午前に懐かしいO先生から寒中見舞いであろうか、お酒が届いた。純米吟醸 生原酒 中汲みという貴重なラベルだった。栗駒山の伏流水で作ったというお酒。栗駒山は7年前に仙台で亡くなった妹が大好きだった山だ。
かって上越で美術教育の教授をされた先生の教養はあまりに深く、恐くて覗けない井戸のような感じを受けていた。しかも謙遜と遠慮、さらにユーモアのセンスも同じくらい深かった先生。
当地を離れて三年、上越に何か火が消えたような淋しさを感じていた。本日、突然このようにされるのは先生がよく仰っていた「仁義」なのか。それもお元気な証拠であり、しみじみ有り難く思った。何をお返しすればいいのか、幸せな悩みだ。体を大切に頑張らなくてはと思った。
再びの寒波 そして半だるまとは
晴天に恵まれた日の昨夜半、静かだった夜空が不気味にヒュー、と鳴った。今年二回目の冬将軍の訪れを告げる使者の声のようだった。
出かけた先で見た赤い壁の建物。雪の日の風景は一種絵のように見える時がある。
今度はどの程度の寒波なのだろう。先週末テレビが知らせた上越地方の気象情報は今週は毎日雪ということだった。先週末そのことをある患者さんと話したら「大したことないかもしれませんよ“半だるま”ばっかりだから」、とおっしゃった。
初めて聞く“半だるま”とは、以下のようなことだった。
点々と降る雪が付いた雪だるまのマークは本降りだが、裸の雪だるまや雲が付いているのは“半だるま”。豪雪をもたらす本降りより弱めのマークということらしい。これは患者さんが思いついて、この方の家だけで通用している言葉だと仰った。恥ずかしそうに話されたがなかなかのものだと感心した。
どうか今週はその半だるま程度にしてもらいたい。
寒中にこの暖かさ 釣りする親子の詩情
いわば厳冬の真ん中でこの穏やかさ。今日の車外温度は夕刻で9℃、無風で雲もない好天だった。来週から再び雪模様の予報。そのことが分かっているように今日の海岸は散歩や余暇の人が多かった。
夕刻の海で釣りをしていた親子。名乗って写真のモニターを見てもらい、ブログに載せてもいいですか、とお尋ねした。お父さんはにこやかに、いいですよ、と仰った。眩しいほどの詩情だった(上越市柿崎海岸)。
「アート&アーティストの底力」新潟展(1月14日~22日)が本日で終了です。出品した拙油絵「いもけんぴ」が期間中に売れたと聞きました。震災へチャリティーされます、お買い上げ下さった方、まことに有り難うございました。
今夜の平清盛に佐藤義清(のりきよ:西行)が出た。立派な武者ぶりに驚いた。
海沿い山沿いの雪 38(さんぱち)豪雪のこと
一般に海沿いは山沿いに比べて雪が少ない。今年はその違いが顕著に現れていて、16日は上越の山沿いで280㎝に届いたため市に災害警戒対策本部が置かれたほどだ。
もう頻回の雪下ろしが始まっているという、にわかに信じられない状況だ。
いつまで続くか分からないが、ほとんど雪がない当院の駐車場の様子。
ところで当地海沿いでも雪下ろしは昭和30年代や60年前後の豪雪で経験している。中でも、38豪雪と呼ばれる昭和38年(1963年)の雪は出来事としても伝えられる。
雪は学生だった私が冬休みで帰郷した直後から降り始めた。あちらこちらで立ち往生した列車内の宿泊や炊き出しの様子が途切れがちな報道によって知らされた。
その年の町のたよりに「早く雪下ろしをしましょう」というような知らせが載った。記事の写真は我が家だった。山のような雪を乗せた木造三階建ての家は異様な光景だったと思われる。高い屋根に上がった職人さんたちのことが心配で仕方がなかったと後々まで母が言った。
豪雪によるたびたびの停電も印象に残る。帝国石油によって可能になったガス灯を点けたが、心細さを伴った小さな灯りがよみがえる。
その帝国石油の社員として秋田県から来られたご夫婦にその時の話を聞いたことがある。秋田の雪は非常に軽く、みな風で吹き飛んだしまう。しかしこちらへ来て初めて雪が重いことを知ったという。
豪雪のころ、自分たちは借り屋住まいだった。大家さんはお年寄りで、私たちに雪を下ろしてと言った。いざ屋根に上がったが恐くて仕方がなかった。一緒に上がった奥さんは長女を身ごもっていたので生きた心地がしなかったと、振り返られた。
降り過ぎる雪への忍耐にも限界があろう、行政のフル活動が求められている。
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