樹下だより
寒波が来て
冬型の気圧配置となってしばらく寒波が続きそうです。樹下美術館の一帯は今朝から雪模様となりました。荒天の中を何組かの方に来館して頂いて本当に有り難うございました。
雪見のカフェ。
庭のヤブコウジの実が葉陰で上手に雪をよけていました。寒さに負けず赤々と仲の良い様子でした。
齋藤三郎作、寸雪庵好み香合
茶道の茶会では、茶室は炭火にお香を添えて香りを立たせて清められます。その際のお香を入れる器が香合です。お茶道具の中では最も小さな器でしょう。

大きさ縦4㎝横5㎝奥行き2,7㎝

このたび上越市内の道具屋さんを経て、華やかかつ上品な香合が樹下美術館にきました。齋藤三郎(陶齋)さんらしい味わいの良い赤地に金で雪の結晶が綴られています。上越高田にゆかり深い寸雪庵主のお好み道具。由緒もできばえも素晴らしく、是非にと求めました。

器を入れる木目の効いた小さな杉箱には、陶齋の字で「寸雪庵好雪花文金彩屏風香合」と書かれていました。以前にも触れましたが寸雪庵は亡き濱谷朝さん(写真家・故濱谷浩氏夫人)のお茶室の名です。詩人、フランス文学者の堀口大學が名付け親ではなかったでしょうか。
少々驚いたことに箱のヒモは普通には布紐ですが、当箱は革紐があしらわれていました。なんともおしゃれな仕事ぶり、箱にも惹き付けられます。
その昔、たとえ疎開も一つの縁とはいえ、上越に濱谷浩夫妻や小田嶽夫氏、さらに堀口大學ご一家が歩いていた時代があったのですね。赤い椿の雪の夢、などと呼んでみたい気持ちがします。そしてみんなに愛された陶齋もまた、思う存分力を発揮していたことでしょう。
※濱谷朝さんは「女人日日(おんなのひび)」という書物を残されました。日ごとの営みやご自分の事で、新潟の話が沢山書かれています。写真や本を見ますと、朝さんは博多人形のように(またそれ以上に)美しく、奥ゆかしい生活感覚の持ち主だったことがわかります。
※「女人日日」は来週からカフェに置かせて頂きます。
※当香合は来春の開館で展示致します。
落ち葉と風の加減
閉館前の誰も居なくなった美術館でお茶を飲んだ。目の前の芝生一面にモミジが散っていた。落ち葉の元は北側にある高さわずか2メートル半くらいの株立ちの木だ。
それにしてもこんなにうまく平均して散っているのは珍しい。芝生は南向きに傾斜しているので、今頃は大抵南の風下に吹き溜まる。
それが今日は、あたかも手で置いて行ったように全体に散らばっている。赤みを帯びた芝生と、風の加減に感心しながら熱いお茶を飲んだ。今年の秋もあとわずか、名残を惜しんで一息ついた。
小生のボタニカルアート作品展
今朝の新潟日報の紹介記事。小林古径記念館元館長の小林新治さんがお書き下さった。
今日から11月30日まで新潟市秋葉区で小生の作品展が始まりました。およそ10年振りのことで、やはり気恥ずかしさを否めません。
この度の発端は、9月に樹下美術館をお訪ね頂いた新潟のお客様のお話から始まりました。館内で販売していた小生の絵はがきをご覧になって、ぜひ作品展をと申されました。
●会場は新潟市秋葉区美幸町3丁目19-3「小さなアトリエ悠(はるか)℡0250-23-2067」
●最終日は11月30日(月曜日)です。
ご自宅をギャラリーとして開放されておられ、5つの部屋に30点の作品が展示されました。お暇の節にお訪ね頂けましたら、有り難く存じます。
※展示会では小生の作品販売を致しておりません。
※樹下美術館ではトイレの鏡脇に「館長の絵」として季節ごとに一点架けさせて頂いています。
倉石隆の挿絵原画/15少年漂流記
樹下美術館常設展示の画家、故倉石隆は生涯人物の油彩画を中心に制作しました。内省の画家にあって自然な志向だったにちがいありません。
一方で見逃がせない仕事に挿絵があります。筆を振るったのは少年少女向けの本でした。物語に応じて銅版画、水彩、スクラッチボード、鉛筆画、ペン画など多彩な技法が駆使されました。挿絵の一枚一枚から、子どもたちの胸ときめかせ感動を願う倉石氏の思いが伝わります。
向こう側の男性は倉石氏ご自身によく似ていると思います。
氏は30冊近くの本に挿絵を描きました。当館は数冊分の原画を保管し、いずれまとまった展示をと考えています。ここでは「15少年漂流記」(ベルヌ名作全集12 辻昶 訳 1968年 偕成社)の原画を一部掲載しました。優れたデッサン力を有した倉石ならではの動きと感情表現が伝わり、胸躍らされます。
制作においては熱心に考証を研究していたと、奥様からお聞きしました。
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当原画は黒インクのペン画です。口絵用の一枚だけが水彩で彩色されていました。
晩秋の木村茶道美術館
紅葉もお終い。しぐれる中、落ち葉の掃除が進められていました。
今月から樹下美術館ではお抹茶をお出ししています。今日火曜日は休館日、昼休みにスタッフと木村茶道美術館を訪ねてお抹茶を頂きました。
茶室では、出されたお茶碗を左のお客さんの間に置いて「お先に」、右のお客さんには「お相伴します」。それから手のひらに乗せ、押し頂いて少し茶碗を回す。飲んだ後は茶碗を戻し飲み口を清める。少し予習をして揃って美味しく飲んだ。
本日お点前された方は、初めて訪れた25年前当時の人だった。しばらくお目に掛かってなかったので、とても懐かしかった。久しぶりに同じ場所で同じように同じ人に出会うのは、めでたいことだと思った。
堀口大學のマッチ箱
昨日ある捜し物の折りにマッチ箱が二つ出てきた。当館の開館前夜に齋藤三郎氏の最初のお弟子さん、志賀重人氏から送られた資料の一つだった。恥ずかしいことに当時のあわただしさにかまけてマッチは書棚で眠ったままだった。

あらためてラベルを見ると詩人・フランス文学者堀口大學の詩だった。疎開で妙高へ来越された大學ご一家は戦後昭和25年まで高田市(現上越市)に住まわれた。この詩は堀口すみれ子さんの著書「虹の館」にもあり、マッチには大学の筆で以下が印刷されていた。
「寸雪庵の冬囲ひ まがりなりにも仕上たか 三郎さの登り窯 火は今日あたりはいったか 時雨の音をきヽながら まくらの上におもふこと 堀口大學」
寸雪庵は後に写真家・故濱谷浩氏の奥様となる朝(あさ)さんが高田で営まれた茶室だ。朝さんは魅力的な人だったらしい。ちなみに文藝春秋2007年の創刊85周年記念号で「昭和の美女」ベスト50に選ばれている。外交ジャーナリストで作家の手嶋龍一氏が推薦された。
そして詩文中の「三郎さ」は当館展示の陶芸家・齋藤三郎氏だ。時雨れる夜、朝さんの雪囲いと三郎氏の窯を案じる詩人。その日、大學が床についたのはほぼ60年前の、厳しい冬へと向かう高田だった。
後に文化勲章を受ける先人が残した素朴なマッチ箱。新しいマッチ棒で擦ったら明るい火が灯った。

カフェでお抹茶
山、雲、里に秋のたけなわです。
樹下美術館のカフェでは、前々からお抹茶のメニューを考えていました。このたび支度が出来ましたので11月からお出し出来るようになりました。
御菓子付き500円です、どうかお楽しみ下さい。
お声と庭など
しっかりとこちらを向いた台風が心配されます。
さて、このたび館内のノートに記された6月以後の来館者様からのコメントをホームページ「お声」に追加させて頂きました。貴重なコメントに接しますと「これからも頑張るぞ」という気持ちが沸いてきます。
お声の中にはカフェや庭の感想が沢山あります。庭は肩の凝らない自然な雰囲気を目指しています。芝生は大変ですが、スタッフが一生懸命管理しています。
コーヒーや御菓子・トーストも誉めて頂き喜んでいます。来月からお抹茶をお出しする予定です。作品やお茶・庭で、ホットする憩の場をといつも想っています。
お気軽に。
白磁の壺
樹下美術館の陶芸作品は故齋藤三郎氏です。生前、父は熱心に齋藤作品を集め、時には人にも上げていました。
器を見て「いいですね」と目を輝かす人がいると、「分かるかね」と言って上げてしまうことがあったのです。
ところで先日ある店でたっぷりした大きさの三郎氏の白磁壺と出会いました。昔、長く家にあって見慣れた壺によく似ていました。いつしかそれが家から無くなったのも、父が人に上げたのかも知れません。李朝を思わせる柔らかな化粧の壺。懐かしさと共に選びました。
ある方が美術館にアケビとツルウメモドキを届けて下さいました。いい加減ながら生けると壺はいっそう生き生きとしました。当作品は来春に展示したいと思います。
裏のサイン。筆が走り、高田における比較的早い時期の作と考えられました。
- 仏像、社寺、二十三夜塔、庚申塔
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