樹下だより
アンティークも楽しんで
カフェではアンティーク食器を楽しんで頂けて喜んでいます。

春まだ浅き窓辺にて 古き器を手にとれば
見知らぬ事も懐かしく 見知らぬ人までゆかしけれ sousi
「アンティークカップは今から10余年前、樹下美術館を決心した頃から集めました。そこで使いたかったからです。今はもう収集の余裕はありませんが、皆様にお使い頂ければ有り難く思います。」
「陶齋の湯飲みもこのような形で使って頂けること、集めた亡き父の願いかもしれません。」
こらあじゅの司修(つかさ おさむ)、そして倉石隆
昨日1日の開館は氷雨まじりの静かな一日だった。来館者は関係者ばかりとなり、お陰で人を頼んでの外構清掃やパソコンの修繕、間違ってた案内の直しなどそれはそれ有益に過ぎた。
ところで手元に1967年11月3日発行の「こらあじゅ」という画集がある。黒いカバーに黒文字のタイトル、しかも著者名は小さくてよく分からない。カバーを脱いだ表紙は図案のほかに何も記されていない。さらに本の見開きにタイトルと著者名があるがこれもあまりに小さくて見逃しそうだ。この遠慮がちでエスプリの効いた画集の著者・司修(つかさおさむ)氏は画家から川端康成文学賞、毎日芸術賞へと展開された異才の芸術家だ。
あらためて表紙カバーを見てみると黒の下地にタイトルと女性のカットが黒で印刷されている。黒ずくめであるが黒橡(くろつるばみ)色の地に漆黒の刷りは暗然たるコントラストの妙を表出させている。転じて表紙は真っ赤なビロードのハードカバー(堅さから板表紙かもしれない)。その真ん中には焼きごてで押したような図案があって、本を開ける前から色々と楽しい。
さて中身は版画集である。開くと右側のページだけ作品が刷られている。それぞれ手刷りの版画がいい匂いの紙に32枚。限定170部、著者(発行者)と印刷者だけによる私家本になるのだろう。なんともおしゃれで堅牢、意識が高い。
作者のあとがきを見ると、、、作品の半数は中央公論社刊「日本の文学」中の挿絵であること。また描くに至ったのは石原慎太郎氏の多分のご好意によったものだ、、、という一節があった。
昭和42年の発行だから司氏32才の作品集になる。物語あふれる作品の大成は若くしての偉業にちがいない。本の見開きに倉石隆 様という献本サインがあって、巻末の番号は0002/170だった。
司氏は1935年生まれ、当館常設展示の倉石氏は1916年だからふた世代の違いがある。しかし二人はともに主体美術協会の創始会員として、さらに同士や友として困苦の時代を励んだと聞く。
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表紙カバー。拡大して眼をよくご覧下さい。 |
表紙 |
館長とは名ばかり、もとより不勉強な筆者。次は倉石氏の個展図録に見られた司氏と倉石氏の親交へとなんとか進んでみたい。
今年の樹下美術館のカフェはアンティークカップや陶齋の湯飲みで
明後日3月1日(月曜日)から今年の開館です。3月いっぱいの展示は昨年の展示を継続、4月から更新致します。また5月に音楽会、6月、10月には講演会を致します。いずれも3周年記念の試みです。
早々に3月1日からのカフェでは、一年間西洋アンティーク食器でのサービスをさせて頂きます。またよろしければあとのおくつろぎに陶齋の湯飲みでお番茶をどうぞ。せっかくですから遠慮なさらず気軽にお使いください。
※陶齋とは当美術館の常設展示作家・故斎藤三郎氏の号です。 現在斎藤尚明氏が二代陶齋として上越市寺町の窯を継承し活躍されています。
今後、順次展示や音楽会、講演会のお知らせをさせて頂きます。
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| 出番を待つアールデコなどのカップたち | 陶齋の湯飲みでお番茶もどうぞ。 |
※ 器につきまして
アンティークカップは今から10余年前、樹下美術館を決心した頃から集めました。そこで使いたかったからです。今はもう収集の余裕はありませんが、皆様にお使い頂ければ有り難く思います。
陶齋の湯飲みもこのような形で使って頂けること、集めた亡き父の願いかもしれません。
準備
4,5日も続いた好天。大雪を嘆いた冬も、過ぎてみればあっという間だった(もう降らないと仮定して,,,)。
午後は本業の休み日。3月1日の開館準備に美術館へ。駐車場に雪は無くなったが庭やカフェの窓辺にはまだ相当な雪だ。
買い物に出ると近くの頸城区榎の井付近の水田で沢山の白鳥が食餌をしていた。コウコウと鳴きクチャクチャと旺盛な食餌の音が聞こえた。
きびしい冬をどう過ごしたのだろうか、野性を間近にすると力づけられる。
浅田真央選手が振り返る
練習まではとても緊張し、競技が近づくにつれて集中してきて、演技中は喜びを感じていた。夕刻のニュースで浅田真央選手がこんな風に振り返っていた。
テレビを見ているだけで緊張してしまう競技で、彼女の競技者としての完成度に驚かされる。上位の選手たちはきっと同じ心境なのだろう。
いいニュースが無い中で気の毒なほどメディアに晒される選手たち。オリンピックが終わったら何が日本を明るくするのだろう。当美術館も地域のささやかな一灯たりうるよう頑張ろう。
今日の日長、間もなく開館
雪雲のひらけて今日の日長かな sousi
晴れ上がった日曜日、気温が上がっているので雪は溶けてきた。樹下美術館の駐車場はスタッフによってあらかた除雪された。今年の開館まであと10日、どうか雪はあわ雪程度にしてください。
頸城野の雪解けの田んぼで白鳥が食餌していた。何かの根を食べているようで、さかんに泥の中をあさる。
そして樹下美術館の南側の土手にはふきのとう。日が長くなって春に手が届いてきた。
農道の脇で白鳥の飛来にあわてるからす |
美術館南の土手と小さな流れ |
椿の蕾のボタニカルアートを終了にしました。
B4muse S 1mm厚ケント紙を半分にカットしたボードに描きました(B5サイズ)。
1月25日から描き始めた椿の蕾を完成としました。まだ手を加えたいところもありましたが収拾が付かなくなりそうなので終了というわけです。恥ずかしながら同業の会報3月号表紙になります。
分量の少ない絵でしたが、雨雪を貫こうとする蕾の形状に植物の洗練を感じました。
昨年は白花デンドロビュウムでした。白い花は引き立ちますが、描くとなると大変でした。白花には容易に描かせまいとする気高さのようなものがあるように感じられました。
椿の蕾は額装して樹下美術館のトイレに架ける予定です。
樹下美術館/今年の予定のお知らせ
3月1日月曜日、樹下美術館の今年の開館が近づきました。その日の窓辺はまだ雪景色かもしれません。
お陰様で当館は今年6月10日に満三周年を迎えます。一区切りを記念してささやかですが以下のような行事を計画致しました。どうかお楽しみに。
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【カフェ】
●3月1日から今年一年のカフェはアンティーク食器(アールデコなど)でサービス致します。
●ご希望の方のあと口に齋藤三郎(陶齋)の湯飲みでお番茶をお出しします。
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【4月1日~12月28日までの展示】
●齋藤三郎:染め付けと色絵展
●倉石隆:「15少年漂流記」および「金色のあしあと」原画展
※3月中は昨年の展示を続けています。
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【講演会および演奏会】
●立花千春さんフルートコンサート:5月16日(日曜日)18時30分開演/上越市大潟区コミュニティープラザホール。ピアノは山田武彦氏です!ぜひお楽しみに。
●エッセイスト堀口すみれ子さんの講演会:6月19日(土曜日)14時から/樹下美術館 陶芸ホール。上越にゆかりある詩人・フランス文学者の父・堀口大学を語ります。
●プロダクトデザイナー山中阿美子さんの講演会:11月6日(土曜日)午後2時から/樹下美術館/学生時代に仲間と共に名作チェアー「マッシュルームスツール」をデザインした阿美子氏が樹下美術館展示作家の父倉石隆氏の思い出と、マッシュルームの物語をお話しされます。
※山中阿美子さんの講演会のお尋ねお申し込みは樹下美術館(025-530-4155)へお問い合わせ下さい。ホームページやブログでも順次お知らせ致します。
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3月1日からカフェでお出しする食器のご紹介です。
どうぞお気軽に手にとってお楽しみください。
樹下美術館を決めた10年ほど前から集めました。
今はもう収集の余裕はありませんが、お使い頂ければ嬉しく思います。

【1930年頃のシェリー、リージェントシェイプなどのトリオ。英国】

【1910年代オールドノリタケ、フラワーハンドルのトリオ。欧米へ輸出の里帰り】

【1930年頃のロイヤルドルトン、タンゴシリーズのトリオ。英国】
以上3点はアールデコ様式の器(およそ1910~30年代に流行した様式)です。
アールデコは円と直線の取り合わせが独特です。

【1890年頃のワイルマン、フラワーバスケットのトリオ。英国】
ワイルマンは最上段のシェリーの前身です。
【1800年代後半のミントン、シノワズリのカップ&ソーサー。英国】
シノワズリは中国風というような意味です。
ジャコメッティの細い「歩く男」が。
たとえばAという人のAらしさを表現してみる。これは様々なジャンルとレベルで可能だ。およそ子どもの時から私たちもこのようなことに親しんできたように思う。
ではAに見られる人間らしさを表現するのはどうだろう。前者の裏腹でもあろうが命題は突然地味に変化し、困難の予感がしてくる。こちらの人間観まで問われるからだろう。
これらの事を生涯痛々しいほど追求した一人がアルベルト・ジャコメッティ(1901年~1966年)ではないだろうか。彼の作業には陣痛を伴う出産(誕生)のイメージが浮かぶ。
いつしか彼の人間についての彫像は台座の上に小さな棒のようなものとして現れる。それがさらに細くと望んで次第に背が高くなっていった。

妻が見ている細い人間を作り始めた頃のジャコメッティ(我が心の芸術家たち:著者/ブラッサイ 翻訳/岩佐鉄男/ 1987年12月24日(株)リブロポート発行より)。自らの作品を触る彼はうっとりとして幸せそうです。この本は樹下美術館のカフェにあります。
哲学でなく実体への固執。同じ場所に住み、晩年は手術と苦悩とタバコによって衰弱し、服の中に浮いているようだったと目撃されたジャコメッティ。ピカソやサルトルなど多くの人が彼を愛した。
そんな彼の細いブロンズ作品「歩く男」が先日ピカソを抜いて芸術作品の彫刻分野で競売史上最高額をつけた。3日、ロンドンはサザビーズでの出来事だった。この時代、一つの作品が1億430万ドル(約94億円)で落札されるとは驚くべきことだ。彼は同じものを6体制作したらしい。芸術(また芸術家)の深淵と壮大を思った。
樹下美術館の展示作家、故倉石隆氏はジャコメッティを愛し影響を受けた一人でした。氏の人物もしばしば細く描かれますが、作者に感応した独特の存在として魅力的です。
![]() 倉石隆作裸婦 |
![]() 倉石隆作「男(O氏の像)」 |
二人の杉 堀口大學と倉石隆
以前倉石隆氏の油絵「杉林」を書かせていただいた。その後、昨年暮れに倉石氏の奥様とお話しする機会があった。そこでまた杉のことが出た。
隆氏はこんな風に話されたことがあったという。「詩人はいいなあ、堀口大學さんのように杉は寂しいと言えて。おれたち画家が杉は寂しいと言ったらキザにしか聞こえない」、と。 倉石氏のぼやきには詩人と画家の感覚の共通とともに、方法の違いが語られていて興味深かかった。
ところで、大學の「杉は寂しい」という言葉は詩集「雪国にて」にあった。昭和21年1月~7月末の作品による小冊の中にわずか二行の詩。戦争に負けて半年、火も湯も乏しい冬の叙情だった。
※ちなみにこの頃、4才前後の私は引き上げ船を待って惨めな家族とともに旧満州(現中国東北部)にいました。薄暗い大きなテントとぬかるみの日の配食が脳裏にあります。皆様はどうしておれらましたか、私事で恐縮でした。
「杉の森」
たださへさびしい杉の森
まして山里 雪の中
世界を駈け、スペインでマリー・ローランサンに恋した裕質の詩人はいまや雪の越後の山里に。細る体を雪よりつらい寂しさが襲う。しかし苦境に光明を見ようとする大學の意識は本書の後書きにも現れる。

雪国:昭和22年7月7日 柏書院発行。
あとがきの中段に次の文があった。「終戦後、詩興しきりに動き、わたくしは珍しく多作だった。外は雪、家は煤(スス)からなるこの白と黒との牢獄は、わたくしの肉体をさいなんだが、詩興をたすけるよすがとなった。」 妙高山麓関川の仮寓にて 堀口大学。
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