バラの花の絵 その1
上越医師会報一月号の表紙の番が回ってきました。一昨年は白花デンドロビューム、昨年は椿の蕾を描きました。今年は夏にスケッチしたバラに決めて作業を始めました。うまく描けたら年賀状にも使うことにしています。時間が少々足りませんので花だけを描くことにしました。
ところで拙ブログには植物画やボタニカルアートの検索から入って来られる方がよくあります。水彩画ボタニカルアートは思ったよりも難しく検索して研究されているのかもしれません。
ボタニカルアートの困難のうち、前半の転写部分を上げてみました。
①本画となる厚いケント紙(ボード)には余分な鉛筆の消し跡などは残せない。
②そこでスケッチから得た輪郭線のボードへの転写には工夫が要る。
今日は小生が行っているスケッチ→ボードの転写を説明してみます。昔の教則本にはトレーシングペーパーからボードへの転写は、トレース紙の裏を鉛筆でこすり、その上から輪郭をなぞってボードに写す方法が書かれていました。これですとボードが鉛筆の粉で汚れますし、それを落とすための消しゴム跡が彩色作業に不都合な影響を残しました。
そこで画材屋さんに色々相談して、着物の型どりなどに用いるチャコペーパーを使うことにしました。チャコは水で消える性質があります。ボードに転写したチャコの輪郭線をペンシルでなぞって写し、余分なチャコは水筆で消すという方法を続けています。チャコペーパーは画材屋さんで求め、黒もあるようですが、私は青を用いています。
パソコンが発達した今日、方法はとても原始的に見えます。しかし私の不明かもしれませんが、厚いボードに輪郭線をコピーできるプリンター技術を知りませんので現行を採用しています。作業は少々厄介ですが、工芸風の過程は嫌いではありません。
スケッチ |
![]() 輪郭線をトレーシングーペーパーに |
![]() 見づらいですが、ボードに転写されたチャコの輪郭線。 |
|
![]() ペンシルでチャコの線をなぞる |
![]() 水を含ませた筆でチャコを消しさる |
スケッチは当初から一般の半紙(コピー紙)に描いています。画用紙にくらべればはるかに消しゴムが良く効くからです。スケッチはBの鉛筆で、トレースや転写には0,3㎜のシャーペンを使っています。そもそもモチーフには輪郭線などはありませんので、リアリティを高めるために出来るだけ細い線をと思っています。
今回は茎や葉を省略しました。厳密にはボタニカルアートと言えないかもしれません。また表紙や葉書のサイズを想定して上方の花弁を低くしましたら少々迫力に欠けました。我が手のけがれを反省して書き直すつもりです。
後日、彩色から掲載してみます。彩色はいつも自信がなく戸惑います。
12月、イルミネーションとマジック
ちょっと待って、と叫んでも暦は聞いてくれない。そっけなくさっさと行ってしまうので走って追いつくより仕方がない。今、昨夕のことを3日午前0時過ぎに書かせていただいています。
さて先週末から樹下美術館でもクリスマスイルミネーションを点けた。4年目になり痛んだ部分もあって少々追加した。静かな所のせいか暗くなると止まって見てくださる車もあると聞いた。来年はもう少し足してみようかなと思った。
ブロガー「シャッターチャンスは今」さんには小生の写真よりもずっときれいに紹介頂き感謝しています。
ところで昨夕刻、ある納会があった。幹事の知り合いということで今大活躍のMagician KAZさんがゲストでこられた。各テーブルを回って楽しいマジックを見せてくださった。それぞれ趣向を変えて文字どおりあっと驚くパフォーマンスを披露された。
ルックスも表情も良く手もきれいで手品は非常に魅力的だった。来る12月17日(金)にはデュオセレッソで世界的なジャグリングのパフォーマーたちを交えて氏がプロデュースするショウがある。クリスマスに相応しい楽しいステージが目に浮かぶ。
きっと彼は世代を超えて愛されることだろう。膨らむ期待と楽しい時間を有り難うございました。
あふれる詩心ー版画と陶芸ー 川上澄生/棟方志功/齋藤三郎 展
長岡市の新潟県立近代美術館で「あふれる詩心」展を観てきた。二人の版画家川上澄生と棟方志功、それに陶芸家、齋藤三郎(陶齋)の作品が堪能できる充実した企画展だった。
広い館内いっぱいに質の高い作品群。親切でわかりやすいキャプションが付いてとても楽しめた。心惹かれたのは三人の作家を貫く柔らかなキーワードで、上越との関わりだった。それは祖父母の故郷だったり、開けた愛好家の縁結びだったり、恩師の知己などだった。
齋藤三郎(陶齋)は彼らを上越に迎える役割を大いに果たしている。高田を訪れて陶齋窯で絵付けする川上澄生の写真は非常に新鮮だった。また、戦前における若き陶齋と棟方志功の出会いも興味深い。
実は昭和30年前後、陶齋の案内で棟方志功が我が家でお茶を飲んでいる。母はその時の事を覚えていて、志功は面白い事を言っては皆を笑わせたという。
「私が家に帰るとね、知らない人が居るのでコンニチワ、と言うのです。するとその人は、ボク、ボクだよお父さん、と言うんだ。息子だったんだね、ワッ、ハ、ハー」、と。志功は笑いながら自ら不自由な眼のことを、話したということだ。

樹下美術館が収蔵している米大舟頌(べいだいしゅうしょう)
陶齋とともに棟方が当地大潟区を訪ねた時のこと。とある祭の境内で一帯に伝わる米大舟という踊りを見てとても喜び、上機嫌で踊りの輪に加わった。その折に米大舟頌という小ぶりな作品を残した。しぐさもお腹も溌剌として可愛い作品だ。
最後に、陶齋は戦争で応召されるまでのひと時を、神奈川県の鵠沼(くげぬま)で作陶した。今回、当時の貴重な壺が展示されていた。明るい瑠璃色の地に釘で描かれたのは芍薬だろうか。澄んだ青に引き締まった造形、素早い描線。信じがたいほどの完成度だった。
若い時の陶齋には神がかりと思われる作品がある。
館内の説明パネルと図録に樹下美術館が紹介されていた。
樹下美術館で齋藤三郎を飾れることを幸せに思った。
展覧会は来年1月24日(日曜日)まで開催です、ぜひご覧下さい。
花、突然で魔法のような事件
荒天の中休みで日中はよく晴れた。庭の片隅にリンドウが一輪陽に当たっていた。他の大きな株から実生として自然に着床した幼い株と思われた。わずか10数センチほどの背丈、花を付けるまでまったく気づかなかった。
種から育ったリンドウは二度冬を越えなければ咲かないと言われる。それに今年の厳しい夏をよく一人で耐えたと思う。今日の秋最終日、蕾を膨らませ花の面目を保ってどこか誇らしげだった。
植物が花を咲かすということは、自らを世界に知らしめることにほかならない。それは普段地味で静かな彼女たちにとって、やはり突然で魔法のような事件なのではないだろうか。
※今日は「思い込み」と「花、突然で魔法のような事件」の二つを書きました。
私の思い込み 美しいスーザン・ヘイワード
昨夜の放送“永遠のヒロイン その愛と素顔「ヴィヴィアン・リーを探して」”を見た。ひごろビビアン・リーが一番綺麗、とは妻の口癖で、ほかの女優さんを見るとビビア・ンリーに比べれば,,,とも言う。
ところが色々と疎く、ビビアン・リーの映画も風と共に去りぬをテレビで一回見ただけの私。それが、妻が彼女に感嘆すると、ほかに綺麗な(またかわいい)女優さんがいるのに、と心中つぶやく。キャリアーなどはお構いなしに。
50年近く前の学生時代、姉が取っていた映画雑誌で「私は死にたくない」だったかスーザン・ヘイワードの写真を見た。何より脚に驚き、以来詳しくもないのに彼女が一番だと思っているのは、おめでたいことかもしれない。
何とか陶齋分の図録原稿が
樹下美術館の図録について年頭の予定では、まず齋藤三郎氏の分が7月上旬に出来るはずだった。これが超ペースダウンをして現在11月下旬にしてようやく原稿的なものが出来てきた。
A4サイズのエクセルシートに写真とキャプションを割り付けて、元版となる大きな写真をディスクに取る。あくまで素人仕事、一応挨拶文も仕上がり、これからプロの目が入る。
壺、飾皿(25P、写真75枚)・食器類(17P、40枚)・茶道具(4P、18枚)・絵と書(4P、24枚)・紋様集とサイン集(3P、小サイズで68枚)。合計53P、大小写真225枚ほどのボリュームになった。予定よりも5Pオーバーとなったが削れなかった。
印刷屋さんに、これでは全然ダメですね、と言われればやり直しだろう。図録は大きな公的美術館の展覧会で2年前後かかるとも聞いている。挑戦してみて如何にタフな仕事かが分かった。出来上がりには、必ずや批判もあろう。それを最小限にすることが課題のような気がする。
これまで完成の予定を書いてはきたが、大幅に遅れるだけで全く当たらなかった。このたび齋藤三郎氏分が通れば倉石隆氏分にとりかかって両者来年3月いっぱいまでに何とかと、楽観が顔を出す。その楽観の裏で少々胃が痛んでいる。
祖母の姉の嫁ぎ先を訪ねた そして野口孝治のこと
午後の休診日、上越市頸城区森本の遠い親戚S宅を訪ねた。祖母トワの姉タイの嫁ぎ先で、ご当主とははとこ同志、これまでは門前へ伺っただけだった。今日お庭を公開されると聞いて訪問した。ありし日の地主のお宅で、豪勢な屋敷構えに驚かされた。
祖母姉妹の実家は旧津有村(現上越市新保古新田)の開田地主だった。姉妹の兄で明治5年生まれの孝治(こうじ)は生涯を高田平野の用水保全や野尻湖の貯水と発電事業などに捧げている。また護憲の犬養毅を敬愛して大正時代に立憲国民党から出て衆議院議員を務めたこともあった。
孝治は高田学校(現高田高等学校)を出て福沢諭吉が健在していた慶應義塾理財科へ進んでいる。その人生は諭吉と犬飼の思想を実直に反映したものといわれ、孝治の自室には二人の写真が掲げられていたという。ちなみに孝治の長男は高田市議会議長を、甥の小山元一(かずもと)は初代上越市長を務めた。
![]() 門から母屋へ続く通路 |
![]() 母屋 |
![]() 濠(ほり)に沿って築山の道 |
![]() 築山から母屋の東側を見る |
![]() 手水と庭下駄 |
![]() 周囲にめぐらされた濠(ほり) |
さて祖母の実家やほかの姉妹たちの嫁ぎ先も家が大きい。トワは医家の我が家に嫁ぐと木造二階建ての病棟のほかに10数部屋を有する住居が建った。本日尋ねた姉の嫁ぎ先が建って数年後の竣工は、姉に負けられない意識もあったのだろう。我が家の仏間は60畳(現在30畳)だった。
昭和28年、小生の小学6年時に亡くなったトワの通夜はその仏間で行われた。普段寡黙な父が座布団をくるんで背負い、赤城の子守歌を酔って歌って踊った。私は驚いて見ていたが、父には特別な日だったにちがいない。
実は祖父母は大きな家などで莫大な借財を作っていた。貸し主は祖父の叔母が嫁いでいた酒蔵だった。返済は医師になっていた父の肩に重くのしかかった。現金を求めて満州へ渡ることになる父。志していた大学での学問からの転換はまことに不本意なことだったろう。
勤務地の満鉄病院に佐賀県古枝(ふるえだ)村出身の看護婦・母がいた。
母によると、少々ふけた独身医師が病院にいたという。ある日、どうして結婚しないのかと尋ねると、
「僕には親の大きな借金があるから」と父が言ったらしい。
本日の見学は庭だけだった。是非とも屋内も拝見してみたい。外観を一見するだに貴重であり、調査や保護、利用を検討すべきではないかと思った。
ウサギのマシュマロとワイマールのトリオ
はや11月も下旬、普段干支を忘れている私に来年はうさぎですよ、と妻。カフェのほうじ茶でお世話になっている上越市稲田の川崎園さんからウサギのマシュマロを頂きました。愛らしく元気のいいピンクのウサギさんです。大阪市内・柏屋さんのお製だそうです。
ウサギのマシュマロとワイマールのトリオ(カップ、ソーサ、ケーキ皿)
御菓子を1920年~30年ころのドイツワイマール窯のトリオの皿に載せました。ワイマールは第一次世界大戦を敗戦したドイツが、1919年に民主的なワイマール憲法を発布した東部ドイツ(旧東ドイツ)の町です。人口はたった6万人だそうですが、ゲーテやシラーを生み、若きバッハが10年間も滞在した美しい町だということです。
理想を掲げた憲法もナチスの出現を許し、およそ15年で終焉を迎えました。
食器の明るい花模様から憲法が現した往時の希望が伝わり貴重に思われます。
樹下美術館は当食器も含め、来年も引き続きアンティークをお出ししたいと考えています。
上越市大潟区の自然 朝日池と新潟県立大潟水と森公園 そしてため池百選
昨日、水野行きまでの時間、上越市大潟区、朝日池は熱気に包まれていた。渡り鳥とそれを追う人々、夕刻になっても県外の車は去りがたく見えていた。皆さんの写真器材は驚くほど高い水準で、バンの荷台に満載の車もあった。
ほとんどのレンズがハクガンに向いていた。ハクガンの飛来地は朝日池を入れて日本で数カ所しかないという。様々な渡り鳥で埋め尽くされる湖面。真っ白な翼の先端を黒く染めたハクガンは遠目にも気品にあふれていた。限界ながら鳥たちを写せて満足だった。
ますます貴重な雁類の飛翔は力強く、元気づけられた。
甲府、水戸、岐阜、浜松などの車が並ぶ |
レンズ、カメラ、三脚、みなケタ違い |
着水するのはマガンらしい |
お尻を向けてるプリンセス、ハクガン |
青空の飛翔 |
今日の新潟県立大潟水と森公園 |
朝日池は全国ため池百選に選定されました。隣り合わせの鵜の池を中心とする新潟県立大潟水と森公園には密かにリスが生息しています。
新潟県でため池百選に四カ所が選ばれ、そのうち三カ所が上越市内にあります。
越後上越 米山山中(よねやまさんちゅう)の水野
知人夫婦8人で6,7年振りの上越市柿崎区水野に集まった。囲炉裏を囲んであっという間の2時間半だった。いわなに噛みつき、熱いのっぺを頂き、心ゆくまで新そばを楽しんだ。
囲炉裏のいわな |
そばがき |
いわなの卵(こ) |
新そば |
古時計 |
つるし柿? |
銚子屋さんのお父さんご夫婦、若夫婦も優しかった。米山薬師の旧宿場、水野の一夜を心に沈ませて帰ってきた。越後に鄙(ひな)あり、山水に田も海もある。
晴れて月の出番かな
「大根なんてまだ可愛くて、白菜の顔も小さいんです」
荒天が続いていた先日の話。畑は縮んでいたらしい。
それが本当に久しぶり、今日は一日中雲一つなく思いっきり晴れた。
「助かります、あずき取りをしましたわ」と農家の方。
「朝、霜が降ったすけボートも仕舞いましたわ」は釣り好きの人。
彼の今年の海は終わったらしい。
夜はこうこうとしていた
天高し昼も夜もなく月を撮る
年とともに早くなる時間とは
年とって感じることの一つに時間が早く経つことがある。ひと月前に来られた患者さんを一週間ほど前のように感じたり、11月初旬から中旬過ぎまでなどあっという間だった。猛スピードのため何かと積み残しも少なくない。
加齢と時間のスピード化はいくつか要因が重なっているように思われる。
一つとして、作業や思考に対する集中や関心の度合いが以前よりもあっさりしていることもあろう。若い頃は物事にいっそう集中し、沢山の事が気になり、絶えず何事かを深刻に考えて過ごしたように思う。毎日は今より濃く長かったにちがいない。
2つめは年と共に作業や思考の効率が下がっているのだろう。同じ作業に以前の数倍も時間が掛かったりする。時間対効果が落ちていることを、時間が早く過ぎると実感して過ごしているかに見える。
ところで小学校時代の登校で、よく時計屋さんの先輩宅へ寄って一緒に通学した。彼が出てくるまで店先の時計を眺めた。正面の時計の振り子と長針を見ながら1分間の感覚を覚えようとした。おかげで一分当てのような遊びは得意になった。
時間当てと言えば中学生の頃の父に思い出がある。ストップウオッチにもなる時計を用いて父と1分当てをしたが全く勝てなかった。何度やっても父はピタピタと当てた。どうして分かるのか、執拗に訊いた。白状した父はある種ずるをしていたのだ。
最初にお互い試しの一分をしようと父は言い、それからが本番だった。父は試しの一分間に自分の脈をこっそり計ったのだ。その後は前で両手を組むような動作などをすれば脈は簡単に計れる。さすが親は色々なことが出来ると感心した。
さて3つ目として、5年ほど前のある日、何十年ぶりに暗黙の一分を試した。60秒を数えてみると1分16秒も経っていて愕然とした。その時の時間は自覚よりも1,26倍早く過ぎていたことになる。
仕事場のトイレのそばにある古いランプ
昔の時間は如何ばかりだったのだろう。
もう一つ追加してみたい。私たちは何処かへ出掛ける場合、行きより帰りを早く感じる。知らない所への往復ではなおさらだ。もしかしたら人生も似ていて、半分を過ぎた頃から往路と異なる経験であっても、いつか来た道を歩むような現象が起きているのかもしれない。
昔より時は早く過ぎる。しかし仕事では以前よりも時間を掛けてゆっくり皆様と接するようになった。
今夜センチュリーイカヤさんでヴァイオリン永峰高志氏、チェロ桑田歩氏、ピアノ大須賀恵里さんのコンサートがあった。晩秋のコンサート~ロマン派の甘きささやき~だった。魂を根こそぎさらわれるような大きな感動を覚えた。
(下段の9行を修正しました。11月18日 午後10時ころ)
正午のお茶事
本日、日頃お世話になっている茶道の先生宅で正午のお茶事があった。お炭点前と懐石の初座、濃茶と薄茶の後座、心温まるもてなしを受けた。
小生以外の4人のお客様はいずれもお師範で少々緊張した。しかしご亭主お心入れの印象的なお道具と端然たるお手前に、穏やかなお正客様のリードが相俟って忘れがたい一座建立がなった。このような出会いはめったにあろうはずがない。いつかまたと思いながら一期一会をかみしめた。
西国の人 6 大潟の小さくて大きな宝 祝大潟商工会50周年
西国の人5で書かせていただいたように、本日何とか無事に大潟商工会50周年記念式典で講演を済ませた。演題は「大潟の小さくて大きな宝」とさせていただいた。
自分が親の後を継いで上越市大潟区に帰ったのは昭和50年の初夏だった。昼夜なく鳴り続ける電話、日曜日も平日もない診療。患者さんにまみれ地域医療の実践経験もなく精一杯のつもりでも皆さんにはご迷惑をお掛けしたと思っている。
本日午後の大潟商工会50周年記念式典。地元への恩返しのつもりでお話をした。思えば35年前33才の若さで地元に帰った時に、ある種落ち武者の寂しさを禁じ得なかった。そんな自分を密かに勇気づけ頑張れと知らしめた石碑が町内にあった。
「世界にはばたけ」と刻まれた石碑。昭和48年に建立された大潟小学校創立100周年の記念碑だ。ああ、小さな故郷の町にこんなにおおらかな文言が掲げられている、自分も頑張ろうと元気づけられた。
今日の講演では「西国の人5」までの概要の後、碑文「世界にはばたけ」を写真とともにお話しさせていただいた。
現在石碑は場所を移され校内にひっそりと立っている。碑文のことを知らない先生もおられ、また今日初めて知ったという皆様も大勢いらした。
碑文多しといえども、これほど立派でひらけたものがある小学校はざらに無いのではないか。スケール感のある教育エッセンスといえるだろう。
現在いずこも地域は追い込まれ、存亡を賭けて頑張らざるを得ない。そんな中大潟商工会の生き生きしたホームページと、皆様の懸命なご努力を目にするにつけ頑張れ大潟!と叫びたかった。上越市へ合併して5年、ますますその思いがつのる。いま身を伏せて耐えてはいても心と意識を広くし、明日への希望へとなんとかつなげたい。
平成の一億円のふるさと創生事業を学童の海外ステイに使っていた旧大潟町。多くの中学生がこの制度で海外を経験した。そのことは今でも生きていると確信している。
地域振興は重要だ。しかし一過性のイベントで濁しているようでは真の振興にはななるまい。
地域の根底を支え、かつ若者を育てはばたかせることこそ振興ではないだろうか。貴重な税は思慮深く使うべきだ。本日は私なりに日頃の思いをお話しさせて頂き感謝を禁じ得なかった。会場の皆さんの聡明な力感に触れて思いを新たにさせて頂いた。二次会三次会のお付き合いをして嬉しい夕べだった。
※「西国の人 1~5」は「世界にはばたけ」の碑文に繋げたい一心で続けてみました。お読み頂いた方に感謝申し上げます。
西国の人 5 大潟商工会50周年の記念講演
10月6日、ノートに西国の人を綴りはじめて4回まで来た。昔から在宅患者さんの急変などを考えてあまり遠くへ出ない生活が続いている。それで遠方から来た人や遠くへ出掛けてきた人の話を聞く癖がついた。今回のノートの三人もそのような中からのものだった。
記させて頂いた西国人4人のうち三人が広島県にルーツを持たれていた。ノーベル化学賞の受賞者・根岸英一さんは満州の生まれで西国のご出身と言えなくもない。いずれの方にも外に出る果敢な挑戦者の印象が共通していた。
思えば学生時代の知人友人も鹿児島、宮崎、高知、広島、兵庫、大阪、愛知、静岡など東海から西の出身者が多かった。彼らは一様に元気だった。
私の拙い経験によると、当地新潟では課題の取り組みに際し、何かと人間関係にエネルギーを費やす。一方西国人たちはリーダーを決めると一丸となって課題に直面し、人間関係はその過程や結果によって構築されたり、再構築される印象を受けた。このような気風が今日も維持されていれば、と遠くから望んでいる。
いま社会は閉塞し、萎縮・衰退の危惧が随所に漂う。そんな折々に心を広くして前に出る西国人を思い出す。
ところで明日午後、大潟商工会創立50周年記念式典がある。まことに恥ずかしながら小生が記念講演をすることになった。
実は大潟区に昭和48年建立の石碑がひっそりと存在している。単純かつおおらかな碑文で、当地へ帰った昭和50年以来その言葉に勇気づけられた。明日の講演では西国の人を話し、その碑文と希望へ繋げることが出来ればと、思っている。
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